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これまで、人の自殺や死について、あまり深く考えたことがないので、手に取ったのだと思う。

読後感は悪くない。
ただし、この本は「俺が人の自殺や死について深く考えるきっかけ」にはなっていない。
そして、自分の死ということについては考えを持っているつもりなので、あまり勉強にもならなかったのかもしれない。
買う前は、「人の自殺」について考えさせてくれるのかもしれないという期待を持って買ったのだが、読み終えた今、この本の狙いは、おそらく読者自身の「死」について考えさせることのような気がするので、購入する時の勘が間違っていたのだろうと思う。

ある種の人間にとってプライドとは、それなしでは生きていけないという強い思い込みと錯覚から生まれた致命的な欠陥だと思います。
~私が自決するとき~

それ、当てはまるな、と思った。

俺の個人的な「死」の感覚は上記抜粋部分に集約されていると思う。
自分の守りたい部分が瓦解した時、「死」を選ぶだろうと思う。
自分の欲望を押さえつけ、自身の尊厳を無に帰してまで生きていたいとは思わない。
そして、自殺を回避する道筋があるのならば、そちらへ突き進む。
だからこそ、前職は辞めた。
そんな考えだから、植物人間のまま生きていたいとも思わないし、苦しみや我慢の上の社会生活をしたいとも思わない。
それはすでに死んでいるのと同じだと思う。
少なくとも自分自身に関しては。

夭折を美しいものとするセンチメンタリズムはよそう。死ぬことは何としてもぶざまだ。首をくくってのびきった身体、そしてその一部一部分、あるいは吐しゃ物。これが美しいと言えるか。問題は生きることがぼくにとってそれ以上にぶざまだということだ。
岸上大作
~ぶざまに生きることを拒否する~

俺も、自決の美学とかは持ち合わせていない。

今、俺が死んでいないのは、自ら道を選びとることが出来たから。
今後、必ず死がおとずれると理解はしている。
別段いつまでは生きていたいとか、まだ死にたくないとは思っていない。
だから、事故死とか事件に巻き込まれて死ぬということは、仕方ないと思う。
それらは不可抗力で、特段恐ろしくはない。
その点が著者と大きく違う点。

所詮人間は動物で、ただ生きて死んでいくのだ。
墜落する飛行機に乗って、この世に生まれ出るのだ。
地面を這う蟻が人間に踏み潰されることを恐れるだろうか。
答えは否。
何が起こったかわからぬうちに息絶えるのみだ。
即死。

現在、自ら命を絶つような状況には陥っていないし、生きるための努力、つまりは自分のプライドを保つ生き方をやめようとは思わない。
いつか、自身のプライドが打ち崩され、自身の尊厳を守る術がなくなるその時がくるならば死んでやる。
そう思っている。
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