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聞こえてくる人の料理の音というのはいいものだ。

Conetで聞いたある音楽は、正直よくわからなかった。
「ノイズを音楽に」とか、「それをどうやったら一般に落とし込めるか」という考え方や発想は面白く、興味を抱いたが、俺の耳は悲しいほどに一般側らしかった(それにも増して、飲みすぎというのも一因だと思うので、もう一度しっかりと聴いてみたいとは思う)。

今日は(木曜ということであれば今日「も」)、Bigoteで絵を描いていた。
聞こえてくる料理の音。
匂い。

ま、匂いについてはまた別の話だけれど、音に関しては感じ入るものがあった。

単純に落ち着くというだけでなく、かといってドキドキするわけでもない。
言葉では上手く表現できないが、自分の部屋で何か作業をしている時に聞こえてくる、家族の誰かが作る料理の音を想像して欲しい。
そういう音。

決して自分がしている料理の音ではない。
今現在、俺は独り暮らしをしているという事実を考えてみるが、それは「郷愁」というのでもない。

今日Bigoteで聞いた音は、どこか懐かしく、どこか新しい。
新しいと感じる原因は、意識的に彼女の作る料理の音を聞いたことがなかったからだろうか。

とはいえ、今日料理の音を意識的に聞いていたとも言い切れない。
集中して一本の線を描く間、耳の機能はフラットな状態だ。
落ちてくる雨が地面を叩く音や、前の道を車が通る音、ステレオから流れる音楽や、ペン先が紙を撫でる音が入ってくる。
しかし、いずれも意識的に聞いている音ではない。
そして、料理の音も例外ではない。

強いて言うなら、今日の料理の音は、意識的と無意識的の中間で、他の音は無意識的だったということだろうか。

謎は深まるばかりだが、何故料理の音に、特別な感覚を覚えたのか。
今夜は、それを考えながら眠ることになりそうだ。
答えなんてないのだけど、そう疑問に思ったことを忘れたくなくて、ここに書き記しておく。
TS3M0096.jpg
第二回日本橋松尾倶楽部にて配られる「Bigoteフライヤー」の原本
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