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監督:ハンス・ペッテル・ムーランド/脚本:ハンス・ペッテル・ブラー/音楽:ハルフダン・エー
出演:クリストッフェル・ヨーナル、アーネ・ダール・トルプ、アンネ・リュッグ
2006年 / ノルウェー

とても良い映画。
基本的に一人で映画を観る人間ではないから、「映画」カテゴリーすら作っていなかったが、なんとなく気が向いて観てみたら当たりだったので書いてみる。

共産主義の隆盛と衰退の中を生きた男女の話。
こんな書き方をすると、政治的な意味を汲まなければ観られない映画かと思われそうだが、そうでもないと思う。
確かに本作の本流は共産主義を主軸にした政治運動だが、それは、今の世の中に不満を抱く若者の姿とも重なると思ったため。

そして、そういった部分で俺には魅力的な映画だった。

毛沢東の存在、ベトナムに置けるアメリカの敗退により、勢いを増した世界的な政治運動も、劇中、発電所のストライキが失敗に終わるところから形勢が変わる。
「民衆のため」を合言葉に結束を図った運動に陰りが見え隠れし、ついには破綻に至る。

印象に残ったのは、ウンナという女性の言葉。
ウンナは、一時は共産党新聞(名称はうろ覚え)の定期購読を申し込んだ人物なのだが、結婚を期に退職をし、労働者運動に関わる必要がなくなり、購読を中止した人物。
ヒロインのニーナは、ウンナに対し「なぜ購読を止したのか」と問い「値段が高いから」とウンナは答える。
そしてニーナは「嫌いな新聞を強制的に読ませるつもりはない」と痛烈な台詞を口にする。
それを受けたウンナの返答は

『(内容が)重いから』

という一言。
俺にとってはこの一言の方が余程重く心に残った。
前職を辞め、Liveを定期的に行ってきたが、大した成果は上がらなかった。
俺が求めていた成果というのは、偉そうな言葉になるが「啓蒙の成功」だった。
・自分を信じるということ
・社会を信じないということ
・人を見極めるということ
・友を大切にするということ
等々
それらをしっかりと伝え、それに則って生きれば楽なのだと伝えたかった。
しかし、現実は本作のウンナと異口同音の言葉を俺に投げ返した。

『重いから』

もっと言えば、面倒だからそんなものには構っていられない。
俺(私)にだって生活があるからそんなものには構っていられない。

そう思って観ていたら、この上もなく痛切な映画だった。

映画のストーリー自体は抗えない何かに行く手を阻まれる悲恋。
バッドエンドが好きな俺にとってはそれもツボだったが、流れそのものはありきたりと言えなくもない。
因みに、俺は資本主義は嫌いだけど、共産主義を愛してはいない。
しかし、今そこにある既存のものをぶち壊すという姿勢は好きだというのは動かしがたい事実。

多くを投げ打ってニーナに迫る主人公。
その気持ちに応えるには、様々なものについて気付くのが遅すぎたニーナ。
2人の悲しい調べ。

PCお持ちの方、興味があれば正月の暇つぶしにどうぞ。
Gyao:微熱 愛と革命の日々
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0075957/
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